登場人物
真田秀長(主人公)/元請会社の社長/竹中静馬(副社長)/松平正道(行政書士)/豊臣不動産
7.秀長の野心-下請脱却
こうして1年目は終わった。元請の
社長の応援もあって黒字で終わった。秀長は安堵したが、一方で、このままでは事業が大きく
ならないということも感じていた。一連の下請仕事は暫くは続くが仕事が順調の間に会社を
大きくする手を考えなければならない。秀長はずっと町で一番の建設業者になりたいと思って
いたが、遠隔地の仕事で会社が大きくなるよりは地元への貢献で会社を大きくしたい気持ちが
強かった。また民間の仕事でも下請専門にはなりたくなかった。
受注先は大別して2つあると秀長は思っている。ひとつは自治体からの公共工事で有り、 ひとつはこの町と近隣にある大手の不動産会社の造成建築分譲工事である。自治体は町最大の 発注者でありその大きなものは土木工事である。不動産会社からは常に土木一式、建築一式 の仕事がある。秀長は土木一級であり竹中は建築一級であるからあとは資格者を増やしてゆけば 大きな工事にも対応できる。もっとも一式工事は各種専門的職種を束ねる仕事であるから 元請工事である。つまり自分で受注してこなくてはならない。
秀長自身が営業マンとして地元の大手不動産会社に顔を覚えて貰うことが必要で有り、 その場合竹中に社内を任せるしかない。秀長が社内の細々したことに係わっていては営業 できないのである。一方自治体からの受注はまず入札資格を持たねば応札できない。入札 資格を取ってそれを維持する為には決算後いわゆる「経審」(経営事項審査)を受けて それなりの”点数”を取る必要がある。また各自治体の入札参加資格を取るために2年間 有効な入札参加資格申請を完了しておく必要もある。
このうち経審の点数は極めて重要でこの点数が低ければ各自治体の応札条件をクリアできない。
また一式元請工事となると下請工事も多くなり、もし5000万円を超えるとなれば 特定建設業許可を取る必要がある。自社でやってしまえば特定建設業許可を取る必要は無いが 従業員を増やす必要がある。人を増やすことも難しいが増やした後で仕事が増えないと 会社は潰れる。
ともかく秀長は2年目は不動産会社に顔を出して造成建築工事に少しでも食い込もうと 決める一方で経審の点数を上げて自治体の工事にも受注の道をつけたいと思った。