建設業に将来を託す若き技術者を応援します

登場人物
真田秀長(主人公)/元請会社の社長/竹中静馬(副社長)/松平正道(行政書士)/豊臣不動産

物語10の全景画像

10.新会社の出発
創業者一族への退職金支払もおわり真志建設は再出発のお披露目をした。会社の社屋は真志建設の 今までの社屋を離れ吸収合併した会社に移った。真志建設の旧社屋ではもはや狭すぎたのである。 お披露目には元請の社長と豊臣社長が酒樽やら花輪やら色々盛り上げてくれた他、豊臣社長の知人も 顔を出してくれ賑々しいものとなった。豊臣社長の再開発計画も順調に進んでいるらしく1年以内に 工事がスタートするようだった。秀長は早く新会社での体制を再構築し人心の掌握を進めねばならなかった。 創業者が暫くは社内に残るので顧客筋のうけは良いのだが社内で隠然たる影響を持ちつづけることは 避けねばならない。

この会社は創業以来既に30年経っていてその間かなり公共事業を手がけている。秀長は県の 入札参加資格申請の真志建設(株)への切替手続を松平先生に任せた。この会社の入札対象自治体は 県、秀長の町、隣接市町村等に及んでいた。 真志建設はこれから公共事業を通じてこの町の発展に力を尽くしたかった。その為には 入札で指名されなければならないし、コスト競争力と技術の向上が不可欠である。秀長は竹中に社内の 技術の再教育をさせた。こうして各技術者のレベルを把握し、技術的に弱いところを補強するのである が竹中はこうした仕事に力を発揮した。客先に対する従業員の態度も改善させた。30年も公共工事 をやっているとお客様である町の関係者への態度がぞんざいになって来ていた。松平先生は入札参加 資格の真志建設への切替をうまく纏めてくれた。

豊臣プロジェクトの開始には少し時間があったので、秀長はまず町の公共工事を確実に取り込んだ。 合併した会社の経審P点は土木一式工事で800点以上を取れていたので狙った公共工事は受注できた。 元請の社長からの下請工事も続いていたので20名の従業員が遊ぶこともなかった。「豊臣プロジェクト では多分もう少し一級の技術者が必要だな」秀長はますます多忙になっていく日々を楽しむように 次の手を考えていた。「竹中以外にもう一人経営幹部を育成せねば」。豊臣プロジェクトは秀長自身が 率先して成功させなければ豊臣社長に申し訳が立たない。そのほかに公共工事、下請工事が並行して続く。 秀長、竹中に続く経営幹部を育てることが次の課題となりそうだ。秀長は頭の整理をつけると、 オフィスの電源を落とした。明日も又多忙な一日が待っている。


<第一部 完>