建設業に将来を託す若き技術者を応援します

登場人物
真田秀長(主人公)/元請会社の社長/竹中静馬(副社長)/松平正道(行政書士)/豊臣不動産

物語1の全景画像

1.元請社長の言葉
真田秀長は考えあぐねていた。1週間前にこの町の有力な土木建設元請会社の社長からの個人的な すすめで会社を設立して建設業許可を取るように言われたのだ。それも4ヶ月以内という話である

秀長は地元の工業高校を出てから今年で10年になるが、ずっとこの町の小さな「土建屋」に 勤めている。この小さな土建屋はその又上位の「建設会社」から公共工事やらハウスメーカーの 仕事を貰っている。この小さな会社は下請専門として主として工事の最初の部分、つまり 基礎工事を請け負っていた。基礎工事は敷地の整地からコンクリートを打つ迄の作業が主で 土工コンクリート作業が終わると次の下請先へ出向くのである。

秀長は高校は建築土木科で成績が特に優秀だった訳では無い。この小さな土建屋が遠い親戚 繋がりで卒業で取って貰って以来ずっとお世話になっているのである。今や中堅社員の一人 として現場の作業を任せてくれるようになっていた。

秀長はこの間、建設業の技術検定を二度受けていた。ひとつ目は会社の自己啓発支援で 二級土木施工管理技士という試験で合格すれば多少の手当もつくので二十歳前に一次合格、 3年実務経験後に二次を合格した。土木は建設業の基本なので建設業29業種のうち1/3ほどの 業種が二級土木施工管理技士を開業資格(営業所に必置の技術者)として認めている。

手当もついたので助かったが同僚、先輩からそれなりの評価をして貰えることの方が秀長は 嬉しかった。

二度目の試験は一級土木施工管理技士試験で5年の実務経験が必要であったが 二級の試験より質が格段に高く、その上もはや中堅で仕事に組み込まれていたから 残業もある。眠い目をこすりながらの勉強もはかどるわけがなく一度目の試験は完敗であった。

二級は三種別があった(秀長は土木で受験した)ので、いわば試験範囲も狭かったが一級は 全分野が出題されるので勉強の分量が格段に多い。しかも読んですぐ理解出来ないことも多い。 二度目の試験でも試験日の直前にやっと一通り終わった程度で二度三度回す事は出来なかった。 試験後は不安が大きかったがぎりぎり一次試験を通った。二次試験は実務が問われるが秀長は 日頃から実務ノートで気づいたことを書き留めていたので頭の整理がついていたお陰で難しい と感じなかった。